日本映画@監督作品データベース
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山の音
原節子

定価: ¥ 4,725
販売価格: ¥ 4,725
人気ランキング: 61325位
おすすめ度: 
発売日: 2005-08-26
発売元: 東宝
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
成瀬による「川端原作もの」映画の決定版
川端康成の同名小説を水木洋子脚色・成瀬演出で映画化した本作。製作過程の細かいことは知らないのだが、小説の完結・刊行もこの映画の製作年と同じ1954年であることから、その連載の途中から同時進行で映画化の準備も進められてきたということになるであろう。
そして、その取材は「もしかするとこれは成瀬による映画化を前提に書かれた小説ではないのか?」と錯覚するほど見事に的を射ており、完成した本作は、川端の小説の世界が成瀬の手腕によって精緻で美しい映像の中に焼き付けられた、まさしく“日本映画”の傑作として仕上がっている。
水木洋子の脚本も時系列の入れ替えこそあれ、その細かいエピソード・台詞等、ほぼ忠実に川端の小説に沿って書かれており、「川端原作もの」映画の決定版として、川端ファンにも十二分に満足いく作品になっているのではないだろうか。
菊子という女性とその義父・信吾を軸に、彼らをとりまく家族の姿を描いた物語は、悪魔的キャラクターをもつ夫・修一や夫婦生活に失敗し子連れで出戻ってきた小姑の房子の存在により、常に暗い陰影で覆われている。また、中心となる菊子と信吾の関係や修一の特異な女性関係には、その内側に危うく屈折した“性”の匂いがたちこめる。
しかし、本作はそれらを扱いながら、決して卑俗に堕することなく、そこから抑制のきいた複雑な人間心理の機微を繊細に紡ぎだす。そして、主人公、菊子と信吾の互いへの思いやりはむしろ高潔すら感じさせ、悲しみの中で静かにいたわり合う二人の姿は感動的だ。
原節子、山村聰、上原謙、中北千枝子、長岡輝子。演じる俳優たちも、その配役・演技ともに文句のつけようがない。それぞれにとって本作が、彼らの仕事のなかでも最高峰に位置する一本であるといって、決して間違いではないであろう。
成瀬巳喜男が描く川端文学の陰
川端康成原作。古都鎌倉に住む倦怠期の夫婦と同居する老夫婦の人間模様。鎌倉の閑静な住宅街、まだ建物がほとんどない東海道線沿線、丸の内のレンガ街、まだ広い空が東京にあった頃の新宿御苑(らしい)といった風景が美しい。これが写されただけでも価値があるのではないか。
気丈に生きる古い女を演じる原節子と、それを不憫に思いながら見守る山村聡の不思議な交歓が作品の肝。哀願するような目を持って、二人のただならぬ関係を表現する(何があるわけでもないが)。市川昆監督の「細雪」みたない質感といえばいいのか。暴力性を持て余す夫・修一の冷酷さがそれを際立たせる。心の通い合わないねじれた親子像が、家出してきた妹も含めて描かれている。そのなかで、姑の長岡輝子のコミカルな台詞回しが面白く、ほどよいテンポとアクセントを与えている。こういう脇役がいるかいないかで、映画の印象が断然違ってくる。
映像ならではの表現
原作小説で言及される「山の音」のことがまったく出てこない。また
舅の嫁に対する危うい感情が危ういものとしては見えない。原作と
まるで違うではないか、と思われるかもしれないが、成瀬作品は文章
世界からしっかりと身を離して映像だけですべてを表現している。
原節子・山村聰の表情と間合いや脇の人物などが二人の関係がうかが
わせる。それはやはり危ないものをさり気なく感じさせてくれる。
原作を読んだ、という経験は忘れてこの作品の世界に浸ることを
お勧めする。
女が階段を上る時
高峰秀子

定価: ¥ 4,725
販売価格: ¥ 4,725
人気ランキング: 59422位
おすすめ度: 
発売日: 2005-08-26
発売元: 東宝
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
夫に死なれ、生活のために銀座の高級バーで雇われマダムとして働いている圭子(高峰秀子)。彼女とその周辺の人物たちの関わりの中から、女の哀しみが浮き彫りになっていく名匠・成瀬巳喜男監督の女性映画。この世界でのしあがっていくためには身体を張るなどしてうまく立ち回ることが必要だが、それができない圭子の苦悩。また彼女はマネージャー(仲代達矢)が自分を愛していることを知りつつも、他の男に走り、そして裏切られていく。しかしそれでも決して涙を見せない彼女は、見事なまでに成瀬映画のヒロインとして屹立しているのだ。タイトルは、店がビルの2階にあることに由来しており、階段を上る女の辛さと、上った後の別世界で凛と振舞う女の強さ、その両面を見事に表している。キャストではやはり高峰、仲代が好演しているが、加東大介ら成瀬映画の常連たちも、いつもながらにいい味を出している。(増當竜也)
加東大介一世一代のー!?
公開当時、あまり評価は高くなかった作品のようですが、私は成瀬の特徴が良く出た、この監督最後の佳作だと思っています。 脚本は黒澤のアクション系映画で有名な菊島隆三なのですが、まさに成瀬にぴったりの素材になっていてこれには驚かされます。 あの当時の脚本家のレベルは本当に高い。
同じ市井の庶民劇でありながら成瀬の映画が小津作品と違っているのは、家族ではなく、自立してはいるが、底辺で生活に追われる女たちの悲哀をテーマにしている点だと思います。 溝口作品とも違っていて、成瀬の描く女たちは決して社会を弾劾したり、逆に聖母のような永遠の女性像として美化されることもありません。 映画の中で必ずといっていいほどものすごい愚痴をぶちまけるシーンが(その最大のぶちまけ手はなんと言っても高峰秀子さん)あり、またマンネリズム化した生活の中に埋もれていくことになるのです。 そこが本当にリアルで説得力があります。 この作品はその典型といっていいでしょう。 面白いことに現在アメリカでDVDが出ている成瀬作品もこれだけなのですが、成瀬の特徴が一番つかみやすいからではないかと思われます。 どの役者さんもみな達者な演技をみせてくれますが、かつて七人の侍の一人を演じた加東大介さん、いやはや一世一代の悪役(?)ぶりを見せてくれます。 この辺の意外な展開が菊島隆三的なのかな?
お水モノが好きな人は必見
オーナーからのプレッシャー、ライバル店の進出、パトロンの横取りなど、水商売の裏側を判りやすく見せるうえに、圭子に言い寄る男たちもバラエティに富んでいて、111分もの長尺ながら最後まで退屈しない。
また、芯が強くて色っぽいマダム役に高峰秀子がピッタリ。
その他キャストも、オールスター級の布陣ながら、そこそこハマっている。
ジャジーな音楽と沈鬱なナレーションがモノクロの画面に被さり、大人のムード満点。
高水準な作品だけど、エピソードは詰め込みすぎかな。
必要以上に金の苦労をさせすぎだし、結婚詐欺ネタも余計だったような。
そうした贅肉を、圭子が心底惚れた森雅之、圭子に心底惚れた仲代達矢との描写に回せば、メロドラマとしても秀逸だったはず。
その辺の切り込みがやや浅くて、少し物足りないかも。
でも、見応えある力作なのは確か。
菊島隆三脚本、成瀬巳喜男監督、高峰秀子主演
衣装も高峰が手がけてます。
最後の方で、カチッ、カチッと人間関係が片付くと思いきや、そうならないのが、面白い。
わざわざ、大阪に行く森雅之家族に会いに行くのは、どういう意図?
株券返しちゃってモッタイナイ、それだけが気がかりです。
女の中にいる他人
小林桂樹

定価: ¥ 4,725
販売価格: ¥ 4,725
人気ランキング: 64786位
おすすめ度: 
発売日: 2005-07-22
発売元: 東宝ビデオ
発送可能時期: 通常1~2週間以内に発送
田代(小林桂樹)の友人・杉本(三橋達也)の妻さゆり(若林映子)が殺された。その後、田代は妻の雅子(新珠三千代)に罪の意識から自分が犯人であることを告げてしまう。浮気と殺人という夫の裏切りに驚愕しつつ、雅子は子供たちのためにもと夫の自首を許さず、真相を闇に葬るべく、ある画策をする……。エドワード・S・アタイアの『細い線』を原作に、名匠・成瀬巳喜男監督が手がけた異色ミステリ・サスペンス映画。成瀬監督としては珍しい題材ではあるが、夫婦や家族の愛の危機をめぐってのヒロイン劇という点で、彼の他のフィルモグラフィともきちんと相通ずるものがある。モノクロ・スタンダードの硬質でストイックな画面は登場人物の心理サスペンスと見事にリンク、複雑かつ繊細で抑制の効いた演出も俄然健在で、この巨匠の新境地を大いにうかがわせるものがあった。(増當竜也)
成瀬最晩年、心理ドラマの秀作
成瀬最晩年の一作。
“サスペンス”と呼ばれていることも多いようだが、ミステリーや謎解きといったエンタテイメント的要素に重きが置かれているわけではなく、
ひとつの殺人事件にまつわる人々の姿を描いた心理ドラマ。
本作に於いて、殺人を犯してしまった夫とその妻の心理描写は、彼らの台詞に委ねられる部分も多く、それはいささか饒舌すぎるきらいがないでもない。
が、彼ら自身、また家族をはじめとして彼らの周りをとりまく人たちの日常の姿を、丹念に丹念に描き出していく成瀬の演出手法は本作でも健在で、特に子供の性格にまつわるエピソードなどは秀逸。じんわりと恐怖を導く。
そして、そうした日常の細やかで行き届いた描写の積み重ねが、彼らの内に醸成されていく不安や悔恨、苦悩に徐々に深みを与え、観る者の胸を静かに圧迫していく。
これまでの作品群と題材の取り方こそ違え、その根底に於いて成瀬自身の透徹した作家性はいささかもぶれていない。
作品の本質的魅力に特に大きな影響を与えているとは思われないが、ところどころでみられるレリーフの効果を使った映像や、ストップ・モーションも印象的。
♪小林桂樹・主演♪
脚本家の井出俊郎は、他のペンネームで「河内カルメン」の脚本を書いたらしい。
脇役に、藤木悠、黒沢年男、二瓶正也、草笛光子など、後にテレビなどで見る顔が出てくるのが嬉しい。
昭和は遠くなりにけり
1966年作品、白黒映画、次作の「乱れ雲」が成瀬巳喜男の遺作となる、どんな映画監督でも晩年の作品は体力の衰えが演出に反映するものだが、成瀬に限ってはまったく感じさせない、よほど病は急激におとずれたのだとおもう、成瀬の作風を考慮すればこの先も毎年のように標準以上の水準で量産できた可能性が高く残念におもうが、映画の良き時代が終り、70年代の邦画氷河期を見なかったことは幸福だったのかもしれない、
この1年の間に三橋・中北・藤木と本作の出演者が相次いで亡くなっている、新玉も既に鬼籍である、昭和は毎日のように遠くなるわけである、
本作は成瀬にとっては珍しい殺人事件の起きる作品であり成瀬映画の本流からは少々外れている、しかし家族と周囲の人間達の細やかな心理描写を中心とする描写はやはり成瀬巳喜男ならではのものであり、60年代東宝映画らしい白黒のコントラストを強調した美しい映像ととも一通り成瀬作品を見たファンには楽しみの多い仕上がりです、視点をかえればゴジラ映画等でフェロモンをふりまいた若林映子の艶っぽいシーンがとても貴重、
本作を考える場合、成瀬映画の流れから考えるよりも、60年代当時にひとつの大きな流行でもあった悪漢・犯罪もの現代劇の中に置いたほうがよいのだろうと考えます、黒澤明「天国と地獄」1963年を頂点として、市川雷蔵の殺し屋シリーズ、山崎努の悪シリーズ、田宮二郎の黒シリーズなどから現在では見ることが不可能になってしまった多くのフィルム・ノワール作品群の良質の一本なのだろうと考えます、
乱れ雲
加山雄三

定価: ¥ 4,725
販売価格:
人気ランキング: 57484位
おすすめ度: 
発売日: 2005-08-26
発売元: 東宝
発送可能時期:
現在過去未来
加東大介と森光子のカップルは、未来。
旅館で救急車で運ばれる男と妻は、過去。
燃え上がる現在に水をさすように浸入してくる来し方行く末。
しかし加山はついてないw
究極のエロス
女性映画の巨匠、成瀬巳喜男監督の遺作です。
メロドラマとして非常に質の良い作品で、TVなどで何度もリメークされているのでもわかるように、非常にすぐれたストーリーを楽しむことが出来ます(脚本は山田信夫氏)。
しかしこの映画の最大の見所は、加山-司の両者が演じる恋愛関係。交通事故の加害者と、被害者の夫という微妙な関係にある二人が少しずつ惹かれあう心理の動きが、見事に映像で表現されます。
ラスト近くの旅館でのシーンは非常に有名ですが、何度見てもここでの二人の演技、とくに司葉子の演技は絶品。ついに身体の関係へと向かおうとする時の感情を抑制しきれない表情が、加山の張りつめた表情ともあいまって、どんなセックスシーンよりも官能的です。
司葉子にクラクラして。
地元の公民館が毎月第四日曜に映画を無料で上映している。16ミリでの上映だが なかなか立派なものである。ちゃんと解説も自分たちで作成して配ったりする等 意識が高いものを感じる。見に来ている人は地元の年配の方が多い。折りたたみイスで見ている日曜の午後も楽しいものがある。
本作もそれで見る機会があった。
司葉子は 小津の秋日和等で見ていて 清楚な美人だなという程度の認識であったが 初めて見た成瀬の本作での彼女は 正直どきっとするような艶かしさであり驚いた。話の筋は 出来すぎていて のめりこむには至らなかったが 司葉子には のめりこんだ。こんな女優であったのかと 帰り道の自転車でも 感心していた程である。
日本映画が輝いていた時代は確かにあったわけだ。低予算でも きちんとした作品も多かった。それが どうしたことか難しい昨近の状況を見ていると 邦画ファンを自任する小生としては寂しい。かつては 乱れ雲のように どきどきする映画があったのだが。
あにいもうと
京マチ子

定価: ¥ 4,725
販売価格: ¥ 4,725
人気ランキング: 43542位
おすすめ度: 
発売日: 2005-05-27
発売元: 角川映画
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
出演者の演技、監督、脚本、すべて満点
成瀬監督の50年代の傑作。無学な石工の毎日をたんたんと過ごす兄、村の小さな食料品店を経営する父母、そこへ都会で子を作るまでの恋をして、結局失恋して実家に帰って来た上の妹(京マチ子)と助産婦を目指して勉強する末の娘。家族の愛憎がたくみに、かつ情緒深く描かれています。兄(森雅之)と上の妹(京マチコ)の取っ組み合いのけんかシーンは必見もの。また、母親役の浦辺粂子が、とっても温厚でいい味だしていて、昔の「おふくろさん」のモデルを好演してくれています。家族ゆえの愛憎。しかし、心の中はお互い通い合っている。家族について考えさせられた名盤です。文句なく5つ星としたいと思います。
羅生門より……
「あにいもうと」は、「めし」から始まる成瀬巳喜男の50年代の傑作群の中でも特に異彩を放っている。それは馴染みのスタッフと離れて大映で撮った作品だからか、室生犀星の原作の持つ荒々しさが成瀬の繊細さと微妙にすれ違ったからだか良く分からない。中絶と、男女や家族の諍いなどはほかの成瀬作品にもよく出てくるけれども、「あにいもうと」がそれらと少しちがって見えるのは、真夏のために大きく開け放たれた百姓家の中で演じられる京マチ子の妹と、森雅之の兄のすさまじい乱闘シーンによるものだと思う。このシーンはあの「羅生門」の決闘シーンよりも優れていると思う。他にも久我美子が優柔不断な恋人を罵るシーンや、森雅之が妹を妊娠させた船越英二をとっちめた後に、妹に対する深い愛情を吐露するシーンなど、どれも素晴らしい。なによりも驚かされるのは、これらのシーンがすべてセット撮影であることで、それがその前後のカットと完全に調和している。他社で撮ってもこれだけの水準のものができてしまう当時の撮影所の技術の高さと、成瀬巳喜男の演出、京マチ子をはじめとする出演者たちの素晴らしい演技がひとつになった忘れがたい作品。
やっぱり森雅之
何度も映画化およびTV化された室生犀星の名作だが、この作品は特に配役が豪華。母親が浦辺粂子、父親が山本礼三郎、長男森雅之、長女京マチ子、次女久我美子なんて、すごいゴージャスな一家ですよね(笑)。
見所はたくさんあるけれど、やっぱり森雅之。無学で自堕落な石工を見事に演じてます。本当にこの人は芸達者な役者さんです。最後のほうの、京マチ子との半ば本気モードの取っ組み合いのケンカもすごい!
東京郊外のロケ撮影も見事。噛むたびに味が出る、スルメのような成瀬
作品。必見です。