江藤潤

定価: ¥ 4,935
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発売日: 2003-12-21
発売元: ジェネオン エンタテインメント
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脚本家・中島丈博の自伝的作品を、黒木和雄監督が映画化。中島自身がモデルと思われる青年・楯男(江藤潤)が、故郷のわずらわしい人間関係から逃れて東京行きを決意するまでを描く。
また江藤と同様、当時新人であった竹下景子が初々しい姿を見せ、江藤とのラブシーンではその肢体を披露している。ハナ肇、馬淵晴子といった多彩な出演者の中で、特筆すべきは原田芳雄扮する、楯男の友人でヤクザの利弘で、犯罪に手を染めながら、楯男の旅立ちには駅のホームで万歳を三唱して見送る優しさをあわせもつ。がさつで乱暴だが時に優しい、ぶっきらぼうな男を演じさせたら天下一品の原田芳雄の今日に至るまでの代表作と言え、万歳三唱のラストシーンは観る者の胸を熱くする。普遍的な青春像を誠実なタッチで描いた傑作。(斉藤守彦)
閉塞感からの脱却
赤い布切れは、潮風にボロボロになりながら、枯れ枝に纏わりついている。
飛ばされて空に舞いたくても舞えないまま、やがて朽ち果てて行きそうだ。
四国西南端の田舎町、滑稽なまでに精一杯生きている人々。
大きな絶望を含んだ閉塞感で、今にも押し潰されそうな自分という存在。
溺愛する母親の小鳥を逃がすことで、自分も脱却できるのか・・。
祭りの準備をしてきたが、きっと憧れた東京には祭りなどない。
ドロドロした自らの故郷にこそ祭りは確かに存在し、そのことを知った主人公は、
原田芳雄の妹のように、節の外れた荒城の月を歌いながら帰ってくるのだろうか。
中島丈博の脚本、黒木和雄の監督、原田芳雄の快演という夢のような
コラボレーションによって、この作品はATGの頂点を極めた。
竹下景子のお宝映像など忘れてしまいそうなエネルギーだ。
60年代、地方の若者の青春をリアルに描いた傑作
今とは時代がまったく違う。自分らしく生きたい、何かをしたいと願う青年にとって、東京に出るということがもっと大きな意味を持っていた。高度成長時代とはいえ、まだまだ貧しかった。同じ60年代を地方で育った私はこの映画の主人公である映画青年に自分を重ね合わせ、思い切り感情移入して観たものだ。舞台は四国の小さな村、当時、いまほど大都市と地方の情報が同化していなかった。青春とはある意味惨めなものだ。金もなく、じめじめした暗い欲望に支配される。そんな青春がリアルに描かれている。純朴な映画青年・楯男を江藤潤が好演。まだ新人で初々しい竹下景子も魅力的。しかし、この映画の核は、なんといっても自堕落なヤクザ利弘と楯男との不思議な繋がりだ。黒木和雄監督の初期の傑作であり、60年代の青春を描いた作品では異色の名作だと思う。なかなかDVDにならなかったが、すぐ購入した。いまの若い人にはピンとこないかもしれないが、こんな青春もあったのだ。
訃報に寄せて
黒木和雄監督の訃報(4月12日死去)を聞いて、本作にまつわる思
い出をまとめてみる気になりました。本作を観るきっかけは、旅先で観
たという同級の女子学生ふたりに奨められたからだったと思います。観
てみると、自分のエネルギーを爆発させることができるような祭りが来
るのか来ないのか、来るとしてもそれはどのようなものなのか、そんな
ことを思い悩む時期を、シナリオ作家志望の青年(江藤潤)を通して、
ある時は滑稽に、またある時は親しみを込めて描いていて、感じ入ると
ころがありました。なにより、本作を知らせてくれた同級生と心が通じ
合っていたことが嬉しかったと記憶しています。
記憶といえば、本作の当時の新聞広告に佐藤忠男氏の「フェリーニの
『青春群像』に似ながら、それを超えた作品」という紹介が載っていた
と思いますが、確かに記録映画で鍛えたカメラワークで捉えた地元の人
達のおおらかな表情や激しい暴風雨の様子と主人公の父(ハナ肇)や祖
父(浜村純)、そして近所のチンピラ(原田芳雄)達が起こす破天荒で
おかしい出来事ががっちり組み合った本作の骨太さは、『青春群像』に
はないものでした。
最後に本作の音楽についてもふれておきます。本作の基調である野太
い生命力を強烈なビートで、人生の喜怒哀楽をシンセサイザーによると
ぼけたメロディーで表現して、聴き応えがありました。松村禎三の映画
音楽でも代表作のひとつと言えると思います。