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人間蒸発

人間蒸発
露口茂
人間蒸発
定価: ¥ 4,935
販売価格: ¥ 4,935
人気ランキング: 31698位
おすすめ度:
発売日: 2004-01-23
発売元: 東北新社
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今村昌平監督が手掛けた劇場用長編ドキュメンタリー映画。あるサラリーマンが失踪し、その許婚が彼を捜し求めていく。ここでは俳優の露木茂が監督の分身として登場し、彼女に付き添いながら取材を試みていくという趣向なのだが、おもしろいのは本作が決して失踪ドキュメントではなく、それを追う女の変貌の記録として屹立していることである。
カメラを向けられ続けていく中、彼女が次第におかしくなっていく様子が、ひとつひとつのリアクションから濃厚に醸し出されていき、いつしか事件の真実を追うといった趣旨からどんどん外れていくあたり、人間の複雑怪奇な内面を目の当たりにしてしまったかのような戸惑いさえ受ける。ここで彼女が変わるのは、事件の流れのせいではなく、あくまでもカメラのせいであるかのようにも思え、それはワイドショー的なニュース映像がはびこる現在の意図的な先駆けのように思えてならない。カメラ、映像、マスコミといった要素がいかに人を変えていくかに鋭く迫った確信犯的意欲作である。(的田也寸志)

ドキュメンタリーへの挑戦
ゴダールやトリュフォーが映画作りを根底から覆した60年代。ドキュメンタリーとドラマの違い等ないと挑戦した今村昌平の傑作である。この映画を語るならば、大島渚「新宿泥棒日記」「東京戦争戦後秘話」藤田敏八「にっぽん零年」松本俊夫「薔薇の葬列」吉田喜重「告白的女優論」を見ていただきたい。

実験作の極みだぜ
記憶、証拠、欲望、裏切り、好奇心、愛、事実、嘘。この映画は何かをハッキリさせる為に始まったはずなのに、むしろそれをもっと分からない物にする結果に終わったような感がある。

一言で言えば、「危うい」。全てが全て一か八かの大勝負的なスタンスで仕掛けられている。通常の頭の持ち主だったら、こんなイイ意味でも悪い意味でも未知数なモンを、映画の題材にしようとは思わないだろう。前衛は命がけやなと、感心させられた。と同時に、今村昌平ってのはやっぱり嫌な人だなぁと思った。

この映画の出演者の何人かは、この映画に人生を随分苦しめられたろうと思う。原一男の「ゆきゆきて、神軍」や、井坂聡の「FOCUS」でも感じたことだが(Focusは完全フィクションだが、ドキュメンタリーを主題にしているという意味で)、ドキュメンタリーの危険性というか、真実を探求する危うさみたいなモンが実に生々しく、描写でなくて、写実されていて、恐い。

終了20分前ぐらいのところで、現実とフィクションが短い間に何度も何度もリヴァースする演出には感動した。監督はこの映画の感想を内容的に「足りなかった」と言っているが、たしかに希望通りきっちりハッキリはしなかったが、逆に深みのある歪みが制作陣の焦燥感と同時に描かれているのは、強烈だ。

なんかロンブーの「ガサ入れ」を見てるような感じもした。だんだん結末がハッキリしてきても、果たして番組その物が虚構(やらせ)ではないのか?というウンザリするほど、裏なる裏に、精神が着いて行くことを拒絶したくなってくる。

ちなみに本編を全部見終えた直後に、特典映像の今村昌平インタヴューを見るとかなり面白い(そんなに長くないし)。逆に本編を見る前にインタヴューの方を見てしまうと、ネタバレしてしまうので、注意。今村監督、安らかに。

ドキュメンタリーもまたフィクション
結婚式の前に突然失踪した婚約者を探す早川佳江という女性。露口茂がレポーターとなり、カメラと共に捜索を続ける彼女を追うが、やがて婚約者の二重生活が明らかになる…。社会における人と人の繋がりの脆さに自分自身をも見失って呆然とする女性…。
しかしこの作品の狙いはむしろ、ドキメンタリー自体の脆さ、成立の不可能性を示すことにあったと思います。
捜索をめぐり激昂する関係者たちは、「はい、カット」の一言で黙り、スタッフが“セット”の障子や襖を片付ける間、おとなしく座っています。そして、カメラが回り始めると、再び猛然と話し出します。彼らは“出演者”になっていると思えるのです。佳江さんはやがて婚約者を探す気力を失い、レポーターの露口茂が好きになったことをカメラに向かって告白します。彼女は“主役”を演じているように思えます。
今村監督は「ドキュメンタリーもまたフィクションなのだ」ということを、この“作品”で鮮やかに示していると思います。

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