役所広司

定価: ¥ 4,935
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発売日: 2001-11-22
発売元: ケイエスエス
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浮気した妻を殺した罪で8年の刑を終え、仮出所してからは床屋を開き、黙々と働いている主人公・山下(役所広司)。水槽に飼っているうなぎにしか心を開かない彼だったが、自殺未遂した女性・桂子(清水美砂)と知り合い、共同生活を送るようになってから、次第に何かが変わりはじめていく…。
巨匠・今村昌平監督が、吉村昭の小説『闇にひらめく』を原作に久々メガホンを取り、97年度のカンヌ国際映画祭パルム・ドール(グランプリ)を受賞したヒューマン・ドラマの傑作。
従来の今村映画ならではのアクの強さは薄れているが、逆に淡々とした静かなドラマ展開の中からそこはかとない人間への讃歌が、時にユーモラスな味わいをも伴いながら鋭く描かれていく。(的田也寸志)
映画の醍醐味
新聞の三面記事に出てくるような、そのうち名前も忘れられてしまうような、「妻を殺した夫」が、その後どういう生活を送っていくのか。なんとなく考えてじきに忘れてしまうような
想像を映像化した作品がこの作品だと思います。罪を背負い、愛する妻を失って生きる目的もなくなってしまった男が、それでも生きていく自分を「うなぎ」に同化して、うなぎを飼い、うなぎに話しかけたりします。(私は最初おいしいうなぎの話だと思っていました…)最期に男は罪をもう一度償うことになりますがこのラストが好きです。見ている側は主人公にすでに感情移入していますが、それでも、おかした罪は時間をかけて償わなければならないのです。しかし男には既に、すこし奇妙な場所だけど、帰る場所がある。こういう立ち直りかたをしてくれればいいな、という空想的な物語だと思います。
人間という悲しみ・・・
文芸映画作品には私自身あまり興味がないし、どこか原作に負けているような感じを受け、あまりに哲学色が強く反映されて好きになれなかった。しかし馬鹿なようだがパルムドール受賞という面目に負け観るとこれが面白く、癖のある人間物語だった。リアルな描写、いくつも散りばめられたユーモアの虜になりいつしか心が帰依しているのだ。過去からはやはり逃げることができない。いやできる。そんな人間の悲しみと鋭い希望が交錯していくのだ。ある罪を犯した時の人間。その反省しても「しきれない」ジレンマと悲壮は人間だけの悲しみである。今村昌平はそのどうしようもなさを、とても滑稽に、やわらかく描いた。そこにこの作品のすばらしさがある。それでも人間は滑稽である、そんな安心にまた包まれるのである。
役所氏の演技はもちろん、完璧に値したが類まれな存在感を示したのが柄本明である。彼の主人公の過去に痛々しいほど迫る男。その姿は現実という野獣をリアルに感じさせてくれる。
すばらしい人間ドラマだと、後からじわじわとこみ上げてくるまさに名作だ。
不思議な風景
初めて見たときカンヌで何で賞が取れたのか不思議でならなかったが 2回目に見たときに その奇妙で不思議な雰囲気に引き付けられ その理由がわかった気もした。妻殺しの刑務所仮出所の主人公が川ッペリで床屋を開くという設定自体 既に奇妙に歪んだ世界であるし そこに出てくる登場人物も 皆さん田舎の善人という感じでありながら 少し少しずれている。そんな小さい亀裂から 段々 なんとも言えないシュールな雰囲気が立ち上る。なんというか前衛演劇のような味わいすらあり そんなところが欧州で評価を博したかと思う次第。