荒木クミ子

定価: ¥ 2,980
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発売日: 2004-10-29
発売元: ブロウアウトジャパン
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叛乱の軌跡
この作品の素材は、アメリカで実際に起こった殺人事件である。
だが、この映画は寧ろテロリズムに関する作品として捉えたほうがいいと思う。
金も無く、身分も無く、風采の上がらない一青年が、社会に対して叛逆を企てるのだ。
無論ピンク映画なので、狙われるのは団地妻や婦警といった女性ばかりだが、本質は「アルジェの闘い」などにおける爆弾闘争に近いと思う。
興味深いのが、女性画家の登場する場面である。彼女は主人公の住む町並みを「きれいだわ」と表現するが、これは難民キャンプを見て「きれいだわ」と言うようなものだ。主人公の逆鱗に触れるのは当然である。ここには製作者の風景論が織り込まれている。
この映画のテーマを、単純に「勝ち組」と「負け組」の闘いとして捉えてもいいし、パレスチナ問題とのアナロジーを考えてみてもいいだろう。若松監督の、かの地に対するこだわりを考えれば左程不自然な発想ではない筈である。
ラストの一連のシーンは、本当に凶悪なのは誰なのかということを如実に示している。「社会はクソったれだ」という、若松映画の永遠のテーマはここでも踏襲されているのである。
狂気にかりたてるもの
1978年に新東宝から発表された、“エロスの巨匠”若松孝二が監督を務めたピンク映画である。
映画の内容はまさしく題目どおり、改造ピストルを作り上げた19歳の少年が次々にレイプと殺人を繰り返していくというどこまでもダウナーな内容の映画であり、余りにも生々しく暴力的な描写であるために正視に堪えがたい場面も多い。
しかし、レイプを題材にした不快感しか残らない安手のアダルトビデオと違い、この作品に芸術的価値を見出せるのは、連続婦女暴行にかりたてる少年の心の闇や心情の機微に迫ろうとする点にある。
そして何よりも特筆すべきは、今から考えると凄いことであるが本作品の音楽をあの阿部薫が担当していることであろう。全編に渡り彼の不穏で前衛的なサックスが響き渡り、当時の不穏な世相に少年の心の闇に深くマッチしている。更には通りすがりの少年を前に川原でサックスを吹く阿部薫の、今では“お宝映像”ともというべきシーンもあり、映画ファンのみならずジャズや前衛音楽ファンも興味深いのでは…。ラストシーンは夕日をバックにひたすら阿部薫の不気味なサックスが響き渡り、脳裏に焼き付いて忘れられないシーンだ。
若松監督は凄い。エロスや暴力を売り物にしながら、必ず裏ではきちんと何らかの政治的メッセージを伝えようとしている。エロスは実のところ客寄せパンダなのだ。
この作品の内容から考えると決して万人にお勧めできる作品ではないが、機会があれば是非一回視聴して戴きたい作品である。
動く阿部薫は見る価値あり。
新東宝映画である。つまりポルノ映画。
鬱屈した青年が、改造ピストルを作り、次々にレイプ、殺人を犯す。
盲目の少女をレイプしたが彼女だけ殺さない..心が少しだけ変化する。
最後は....
本編は60分。1978年の作品。
内容的には、あまり心にくるものはなかったが、関心はやはり本作の音楽を手がけた阿部薫だ。
ギター、打楽器、ハーモニカ、アルトなどによるプレイ。
「アカシヤ...」も演っている。
ラストの「赤とんぼ」は少しだけグッっときた。
78年というと、フリージャズも70年代初頭ほど熱くはなかったはず。
若松孝二は、ずっとフリージャズを引きずっていたのだろうか。
それとも、単に阿部薫に対する思い入れが大きかっただけなのだろうか?
この映画の数カ月後に阿部薫は鬼籍に入る。
葬儀を仕切ったのは若松孝二だという。